単一効特許の更新料は,EP特許の有効化数が最も多いEPC締約国の“トップ4”(DE,FR,GB,NL)各国の更新料合計に相当する額として設定された。したがって,従来の欧州特許を多数の加盟国で有効化する場合と比べれば,単一効特許の方が更新料の大幅節約になる。例えば,25ヵ国の加盟国で従来の欧州特許を有効化する場合の20年間の更新料総額は現在約16万ユーロであるのに対し,単一効特許であれば20年間の更新料総額は約36000ユーロである。
https://www.epo.org/applying/european/unitary/unitary-patent/cost.html
さらに,単一効特許であれば各国の特許庁に代理人を立てる必要がなく,更新料の支払いも1回で済むため,事務作業も軽減される。
その一方で,特許を維持する国の数を徐々に減らしていくことで維持費をいわば“管理”する手法は単一効特許では使えなくなる。
多数の加盟国で従来の欧州特許を有効化する場合と比較して単一効特許でコストを削減できることは明白である。加盟国4ヵ国での有効化と維持を考えても,20年次までの総費用(単一効特許の翻訳費を含む)は従来の欧州特許よりも平均で8%低くなると試算されている。一般的に言って,有効化するのが5ヵ国~7ヵ国であれば損益分岐点に達するであろう。